YAMAHA Syncroom で整えたい環境

先日のアンサンブル練習の記事でご紹介したYAMAHA Syncroomについて、もう少し細かく記事を書きます。

なお、設定の仕方や対応機器についてではなく、あくまでもSyncroomを利用してみての感想(ユーザー目線)ですので、詳しい設定やインストールの仕方については、YAMAHAのサイトをご覧になってください。

また、ここでご紹介する方法は、アンサンブルのメンバー(IT機器の扱いに慣れた研究者やエンジニアが複数いる)で「あ〜だ、こ〜だ」言いながら試行錯誤した結果です。これが最適という方法でもありません。
それなりに練習が成立している一例としてお読みください。

また、ここでご紹介する方法は、アンサンブルのメンバー(IT機器の扱いに慣れた研究者やエンジニアが複数いる)で「あ〜だ、こ〜だ」言いながら試行錯誤した結果です。これが最適という方法でもありません。
それなりに練習が成立している一例としてお読みください。

練習時の様子(ルーム名やユーザー名は伏せてます)

機器の性能よりも遅延をなくす環境づくりが大事

1 必ず起きる遅延

リモート練習をするようになって、最も大きな障害となったのは音声の遅延です。

遅延は、言ってみれば「相手やグループ全体に自分の音声が行き渡るのに必要な時間」です。

遅延が大きすぎる場合、それぞれがタイミングを合わせて演奏しているのにも関わらず、聞こえてくる音声はズレているという状況になり、快適に練習をすすめることが難しくなります。

会話では問題にならない程度の遅延でも、セッションとなると大きな影響が出ます。

対面の生演奏でも遅延は起きている

音を出してから耳(鼓膜)に到達するまでの時間は、決して音を出すのと同時ではありません。
そして、遠くにいる人(例えばパートの端と端にいる人)ほど聞こえるまでに時間がかかるのは至極当然のことです。

だから厳密な話、遅延を0(零・ゼロ)にすることは理論的にはあり得ません。

インターネットやパソコン・タブレットを介して
なるべく対面で演奏しているのと似た状況にもっていけるかというのが鍵です。

次に大きな遅延を起こしてしまう場合についてみていきます。

2 インターネット回線による遅延

ADSL, 光など、インターネットの回線の名前をお聴きになったことがあるかと思います。

また、上り○M、下り○Mなど回線のスピードや容量を表す数字をご覧になったことがあるかと思います。

結論から言うと
光回線で、この上り下りの容量が大きいほど遅延は少なくなります。

一度に送受信できる容量が大きく、速いほど音声データのやりとりがスムーズになるからです。

集合住宅にお住まいで、建物全体で何かのプランに入っていたりすると、利用できる容量が制限されて、遅延が大きくなる場合もあります。
実際にSyncroomを利用してみて、演奏に支障がでるような遅延を解消できない場合は、この点を疑ってみる必要はあります。

3 無線接続による遅延と電波の干渉

インターネットの回線速度とは別に、実は簡単に解消できるのに放置してしまっている場合があります。

それは、機器の接続の仕方です。
例えば↓のような場合

・無線LANルーター と パソコン(タブレットは仕方ない) のWifi接続
・パソコン(タブレット) と イヤホンマイク等 のBluetooth接続

家の中でのWifiが当たり前になってきていますので、意外な盲点かもしれません。
Wifi接続もBluetooth接続も無線(電波)ですから、不安定になったり、電子レンジや家族のスマホなどのデジタル家電が出す電波の影響を受けます。

そういったことの小さな積み重ねが遅延になって現れてきます。

4 インターネット接続の対策

パソコンの場合

できるかぎりルーターとパソコンをLANケーブルで直接接続するのが望ましいです。
どうしても無線でSyncroomを利用する場合は、家電の影響を受けやすい2.4GHz帯ではなく、5GHz帯で接続し、ルーターが置かれている部屋と同じか近くの部屋で利用する。

タブレットの場合

タブレットはAndroid、iPadのwifi受信機(端末の中にあるので見られない)の性能に影響を受けることがあります。単純に新しいものほど性能は良い傾向にあります。

また、パソコン同様に5GHz帯で接続し、ルーターが置かれてる部屋と同じか近い部屋で利用するようにしましょう。

5 イヤホンやマイクなどの周辺機器の対策

こちらも同様にコードのある有線接続が望ましいです。

イヤホンやヘッドホンは必須!

イヤホンやヘッドホンは必ず使ってください。
なぜなら、自分の声や出した音が端末のスピーカから出ると、マイクが再度その音を拾ってしまってハウリングのような状況が起きてしまいます。

マイクは必須ではないが、位置に注意する!

マイクは端末についているものを使っても問題ない場合が多いです。

ただし、
 ・パソコンのファンの近くにマイクがついていると「ウーン」という回転音を拾う
 ・イヤホンマイクだと、顔の近くにマイクが来るので、声をよく拾うが演奏の音は拾いにくい
 ・エアコンや扇風機の風に直接当たる位置にマイクがあると風の音を拾って雑音となる

ということが起きるので、何かしら対策は必要です。

私個人では、録音用に購入していたICレコーダーをUSB接続してマイクの代わりにしています。
(マイクもパソコンやSyncroomとの相性があるので、一概にどれでもOKとは言えません。)

パソコン版ですと入力と出力について細かく設定ができますので、ご自身の環境にあったものを試してみてください。

6 ルーム連結で遅延は大きくなる?

さて、長い記事になってしまいましたので、最後の項目にしようと思うことがルーム連結のお話です。

Syncroomでは、誰かがホストとなってルーム(センションをする際の部屋)を1つ立ち上げると、あと4人がそのルームに入室できて、合計5人でセッションを楽しむことができます。

また、他のホストになっている人とパスワードを共有することでルーム同士を繋げることができ、最大で2ルーム10人でセッションをすることが可能です。

ここで遅延の話戻りますと

ホストとメンバーの間には多少なりとも遅延があり、またルーム同士でも多少なりとも遅延があります。
ですから、理論上はAルームにいるメンバーとBルームにいるメンバーにはかなりの遅延が生じるはずです。

この「はず」というのは、検証できていないので、理論的に考えるとという話です。

Aルームのメンバー ⇆ Aルームのホスト ⇆ Bルームのホスト ⇆ Bルームのメンバー

のように⇆の部分で遅延が起きているはずなのです。

人数にゆとりがある場合はなるべく1ルームがよいです。

2ルーム連結する場合は、遅延の起きにく環境にいる人がそれぞれのホストとなって繋ぐのがベターでしょう。

長々と書きましたが、2020年の夏ころから2021年に至る過程で、ここに書いたようなことを少しずつクリアして練習のできる環境を整えました。