本番の緊張との向き合い方

2023年7月3日更新
さて、このページでは発表会や弾き合い会、コンクールなど、人前で演奏する時には必ず付きまとう「緊張」とどのように向き合うかということをまとめています。

本文の後に表示されている過去のブログは、私がその時々に感じた「緊張」に関する内容です。
どの記事も試行錯誤の様子が垣間見えて、振り返ってみると、今となっては的を外したことを書いている記事もあります。

しかし一方で、これからの記事は、私が「人前で演奏するために必要なこと」に気づいていく過程そのものです。

そして、依然として完成はされていませんが、ここ最近になって「緊張とどう向き合えば良いのか」を体系的に理解し、練習方法に関して私なりに言葉で表すことができるようになってきました。

ギターに限らず、多くのプロ演奏家の方は、私がまとめようとしている

「本番の緊張を乗り越えて、聴き手の心を動かす演奏をするために必要なこと」

を感覚的に理解し、練習に取り入れ、自分のモノにされています。

ただ、こうした情報は音楽ブログやYoutubeにも見られるように、とても断片的に語られていて、完成図のないパズルのピースを与えられた感じがします。

それだけに、独りよがりかもしれませんが、私なりの言葉で、できるだけわかりやすく、読んでくださる方にお届けしたいと考えています。

これ本にできるんじゃない?というくらいの濃い内容ですので、じっくり読んでください。

では、本題に入ります。

最初の一歩は「緊張は必要」だと頭と身体で理解すること

これまで多くのプロギタリストやギター愛好家の方、コンクール入賞者の方に「本番の緊張」についてアドバイスをしてもらいました。
ですが、結局のところ緊張しないで済ませる都合の良い方法などありません。

そして、『良い緊張は能力を2倍にする』(樺沢紫苑 著/文響社)という書籍に見られるように、

緊張してこそ、高度なパフォーマンスを発揮できる

ことも明らかになっています。

だから緊張は必要です。
頭ではすぐに理解できます。「へぇ〜そうなんだ」って。

でも身体で理解するには、少し時間がかかるかもしれません。
いざ本番となったら、
手汗をかいたり、鼓動が速くなったり、胃のあたりが気持ち悪くなったりします。
身体は正直です。これらの身体の反応を、はっきり言って不快ですw。
慣れないうちは拒否したくなります。そして、不安になってしまいます。
「ヤバイ、どうしよう」って。

でも、頭で「緊張は必要」、「色々な反応が身体に起きる」ということを理解していると
回を重ねるうちに、これらの身体の反応に対して不安にならず、
受け流したり、「キタキタ〜」と納得できるようになってきます。
緊張した時の身体の反応に慣れる。そのための時間です。

個人差がありますので、何回でとは言えませんが、毎月人前で弾くようになった頃のことを振り返ると、私は5回くらいかかったかもしれません。

まぁこれらの身体の反応は、放置。勝手に緊張させとけばいいです。自然体。

とにかくここで大事なことは、

緊張して弾く!

ことです。

なぜ緊張するのか(ちょっとだけ)

緊張は、周囲の状況が日常と異なることによって起きます。
非日常からくるストレスだったりプレッシャーだったりです。

演奏においては、
・最初から最後まで、淀みなく間違えずに弾けるか。
・聴衆を前にしてパフォーマンスを発揮できるか。
・こんな広い場所で、こんな静かな場所で弾くの?
などのプレッシャーを感じる(自分で作り出してしまう)ことによって、身体が防御反応をするために起きるとされています。

緊張して演奏するために必要な2つの自信

本番で、緊張しつつも先に挙げたようなプレッシャーを跳ね返して、演奏をするには何が必要なのでしょうか。
私は2つのことが必要だと考えています。

1つは、技術的な自信。

もう1つは、表現者としての自信。

両者は最初のアプローチこそ別ではありますが、本番の緊張と対峙した時や、豊かな表現に近づけようとした時は、双方が影響しあっていることに気づかされます。

それでは、詳しく見ていきます。

技術的な自信

技術的な自信とは、淀みなく演奏できることはもちろん、つけたい表現を十分にコントロールできるということを意味しています。

自分のことを敢えて棚にあげて続けると、多くのアマチュア演奏家は、淀みなく演奏するだけで精一杯です。

たいていの場合は、どこかの音が鳴らなかったり、違う場所を押さえてしまったり、右手が違う弦を掴んでしまったりして、こうしたこと(ミス)を起こさずに弾ききることは相当難しいことです。

また、レッスンで表現をつける指導はしてもらいながらも、先生の指示を理解し、楽譜を理解し、自分の演奏に落とし込むことは、まぁ大変です。

発表会でたった1曲だけ弾くにも、ゆとりを持って演奏できるようになるためには、相当な練習が必要です。

続く(2023/07/03)