思い出の曲 サンバースト

A.ヨークのサンバースト(Sunburst)という曲をご存知でしょうか?
私が学生の頃、某夜の報道番組で20代そこそこだった村治佳織さんが演奏したり、木村大さんが超絶な速さで演奏したりと、ビジュアル的にはムーンタンと並んで学生時代、知り合いに見せびらかすのに“鉄板”だった曲です。

ジョン=ウィリアムス Sprit of the guitar で

このサンバーストが日本で有名になったきっかけの一つにジョン=ウィリアムスのCDがあったと思います。

このCDの1曲目にサンバーストが収録されています。学生の頃、毎朝このCDをというより、サンバーストだけを聞いて大学に向かった記憶があります。

ヨークはこの頃既にロサンゼルスギターカルテット(LAGQ)の一員として、またソロで十分な活躍をしていたかと思いますが、当時のサークルの中では、ヨークの代名詞とも言える曲でした。

何が思い出なのかというと、私がクラシックギターを始めるきっかけになった曲だからです。

本当はベースやエレキを弾いてビートルズのコピーバンドみたいなことをやりたいと思っていたのですが、
いかんせんポールのような声もでなければ、ジョンのような声もでない。

万年、鼻声気味のくぐもった声の持ち主ですし。

ひとまず覗いてみようかと、ちょっと地味なギタークラブの練習場を訪ねた時に、誰かしらが弾いていた曲でした。

最初は見様見真似で始めたギター

クラシックギターの世界がどういうものかも知らずに、
「おー、なんか上手そうに見える曲があるなぁ」というのが、
サンバーストに対する最初の印象です。

幼稚園の頃に少しだけピアノを習っていた(習わされていた)のがあって、楽譜は読める。
だけども、ギターのどこを押さえて弾けばいいのかわからない。

そんな状態の時に、一音一音左手の押さえる場所を教えてもらいながら覚えた曲がサンバーストでした。

高校生の頃、音楽の授業でギターを扱うことがあり、家にもどこかでもらったギターがあったのでコードくらいはなんとか弾けましたが、おさえる場所を覚えてかき鳴らしているだけで、一音ずつ右手も左手も動かしながら弾くギターというのはこの時が初体験です。

よくまぁ今まで続いてるなぁと思うと同時に、基本とか基礎とかを全く無視していたんだなぁと。
弾いてみたい曲にチャレンジしていたという点だけ評価(苦笑)。

上手いだろ どうだ!という落とし穴

今になって思うことに、この曲を楽譜通りに弾いていたのか?ということです。

ジョン=ウィリアムスの演奏は、悪い言い方をすれば坦々と無機質に、しかし完璧に弾かれていきます。
ですので、違和感はないのですが、好みは分かれます。

一方で、アマチュアの演奏家に多く見られるのが、テクニックを見せるための演奏です。
プロの方々は意図があって速く弾かれていると思うのですが、学生時代の私も含め、綺麗に弾くことよりも、カッコ良さそうに弾くことに力を注いでいたかもしれません。

アルバム『パーフェクトスカイ』でのヨーク本人による演奏は、スチール弦のギターを使っているとはいえ、とてもクリアで木漏れ日のような曲です。
ヨークにとってのバーストは激しい感じではなく、射し込んでくる柔らかな陽の光だったのかもしれません。

そう思い始めると、随分と間違った演奏をしてきたなあと今更ながらに思ってしまうのです。