F. ソル 幻想曲Ye baoks and braes o’bonnie doon

今年の夏頃から練習している曲に、F.ソル Op. 40 幻想曲があります。
この主題について少し書きます。

「小川の岸辺」の主題による幻想曲

という名前が邦題として付けられています。
あ〜、この曲ねと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これ、付けた方には申し訳ないですが、あまりにも安易に邦題をつけた気がしてなりません。

たぶん、モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲と同じように命名されたのだと思います。
でも、川には名前もありますし、元になったスコットランド民謡も様々な楽器で演奏されています。
なのに、ちょっと丁寧でないよなぁと思ってしまいました。

美しいドゥーン川の岸辺

さて、この小川というのはエアシャー(エアシア)地方を流れるドゥーン川のことを指します。エアシャーは、スコットランド南西部、クライド湾の海岸に位置する群です。
そして、このドゥーン川をモチーフにしたスコットランド民謡は、ロバート・バーンズによって1759年に書かれた詩に曲が付けられたものです。

これだけはっきりとした曲であることがわかっていながら、単に「小川」としてしまったのは、とても勿体無いように思います。

また日本人は、「小川」というと流れの穏やかな田んぼの傍にあるような小さな流れをイメージしてしまうのではないでしょうか。

実際は、スコットランドの湿地を流れる大きく緩やかな流れだとイメージしています。

また、この川の流れの途中、アロウェイには、ロバート・バーンズの生家があり、博物館として公開されています。

Op. 40 幻想曲「美しいドゥーン川の岸辺」

ということで、「美しいドゥーン川の岸辺」をテーマにして、F. ソルが幻想曲に仕上げた作品と理解したいので、私が演奏する時は↑のタイトルで表記してもらおうと思います。
(だいたい暗譜しているのですが、動画はしばしお待ちを…)

そもそもは詩です。
私の師匠が日本語訳を書いてくださったので、ここに書き写します。

美しいドゥーン川の岸辺よ
どうして君はそんなに瑞々しく綺麗な花を咲かせることができるのだろうか
小鳥たちは、なんと可愛らしくさえずるのだろうか

それに比べて 私は何と悩みごとに疲れきっていることか
小鳥たちよ 君たちは 私の心をうちくだき とげのある花の上で囀る
それは私から遠ざかってしまった昔の喜びを思いこさせる
決して帰ってくることのないよろこびを

よく私はドゥーン川のほとりを歩いたものだ
夜となく 昼となく
そして 恋のさえずりをしている小鳥たちに耳をかたむける
かつて私が自分の恋を歌った時のような歌に
気分もかろやかに 私は手をのばし
木からバラのつぼみをひっぱってみた
しかし さまよい人(鳥たち)はバラをぬすみとり
とげだけを私に残して立ち去ってしまう

タイトル一つでだいぶイメージが変わりますよね。
大事にしたいなぁ。そういうことも。

にほんブログ村 音楽ブログ クラシックギターへ
にほんブログ村 音楽ブログ 音楽のある暮らしへ

フォローする